政治資金規正法違反となる虚偽記載とその故意について、これまで言及されたブログの意見などを批判的に検討しながら簡単に整理してみたいと思います。
これは民主党の衆議院議員でもある階猛弁護士の意見ですから、バイアスの影響はあるかと思いますが、「弁護としての見解」と断られていますので、その論理だけを抽出して検討してみます。
ただし、弁護士としてあえて強調しておきたいのですが、現行の法律に何らかの問題があるにせよ、法律に違反していない人間の身柄を拘束したり、刑罰を課したりすることは憲法上許されない、ということです。憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、・・・自由を奪われ、・・・刑罰を科せられない」という罪刑法定主義を定めています。
この部分は原則論として誰人も認めるところだと思います。(但し、憲法31条を罪刑法定主義を定めたもの見るという点については異論があると記憶していますが、これは理論上の問題であってこのエントリで議論すべきテーマではありません。)
今回の逮捕・勾留の理由につき、検察は、①政治家の資金管理団体が企業献金を受けた罪、②他人名義でなされる企業献金を受けた罪、③収支報告書の寄付者の欄に虚偽の記載をした罪、という3つの罪の容疑があると説明しています。いずれの罪も、今回の献金が政治団体ではなく企業からのものである場合に成立します。
そのとおりですね。
しかしながら、問題となっている献金は、すべて企業からのものではなく合法とされている政治団体からのものです。受け取った側としては、政治団体からの献金として処理するのは当然です。
ここは問題があります。
階弁護士は、問題となっている献金は西松建設からではなく政治団体からのものである、という前提に立って立論されています。
しかし、そう言っていいかどうかこそが本件の主要な争点です。
階弁護士は、争点について検討することなく結論付けてしまっています。
(お立場上、別に非難する意図はありません。)
報道によると、資金源が西松建設なのだから企業献金であるということのようですが、「政治団体からの献金でも資金源が企業の場合は企業献金と見なす」という規定はどこにもありません。
これも上記と同じ争点の別の指摘の仕方の問題です。
たしかに、「政治団体からの献金でも資金源が企業の場合は企業献金と見なす」という規定はどこにもありません。
従って、資金源を報告書に記載しなくても何の問題もありませんし、献金者が政治団体であるのであれば、その献金の資金源が企業であっても犯罪とはならないと私も思います。
しかし、西松建設を資金源であるとする見方は、献金者が政治団体であるということ前提にする見方です。
その前提が争点になっていることは、既に述べたとおりです。
もし、西松建設こそが献金者であると見ることができれば、資金源の問題は西松建設の資金調達方法の問題になるわけで、その調達方法如何にかかわらず、虚偽記載ということになります。
なお、私は、西松建設こそが献金者であると見ることができる可能性は示唆していますが、本件において、西松建設が献金者であると見るべきであるということまでは言っていません。
私なりの結論を出すだけの根拠となる情報が不足しています。
この問題は、最終的には裁判所が認定した事実と裁判所の法解釈と法適用によって結論が出されるべきものです。
続きは、「虚偽記載とその故意(その2)」

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