この男性は、07年に裁かれた男児傷害致死事件で陪審長を務めた。医療専門家の証言から、被告を有罪とすることは難しいと思っていたが、評議の結果は多数決で有罪に。これを不満として同年12月、タイムズの記者に「陪審長を選んだ3分後には、陪審員の総意が出ていた。有罪10人、無罪2人だった。その後、何も変わることはなかった」などと内容を暴露した。

 判決は、陪審員の守秘義務を定めた法廷侮辱法違反にあたるとして有罪とした。タイムズ側は「報道の自由」を掲げて無罪を主張したが、裁判官は「陪審員が自信を持って考えを表明できるのは、発言内容が外に漏れないとの理解があるからだ」として受け入れなかった。

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評議の結果に対する不満から内容を他に漏らす、というのは日本でも起きる可能性は高い、と思います。例えば別スレで取り上げられている「福岡の危険運転致死傷事件」。
飲酒運転に厳しい人が裁判員になっていたら、「過失」とした一審判決に不満を持って(「うっかり」ではなく)「確信犯」的にマスコミにリークするかもしれません。
それに「この評議で見聞きしたことは誰にもしゃべってはならない」と言われても、「王様の耳は・・・」のように誰かにしゃべりたくなるのが普通の人間ではないでしょうか?
裁判が終わってからも、裁判員同士でカラオケボックスのような「密室」(政治家が使うような「高級料亭」にはとても手が出ません)に集まってコソコソと裁判の話をして他人にしゃべることができないストレスを発散する、とかにならなければ良いのですが。。。

主として雑誌メディア(テレビはやっちゃった場合に監督官庁との対決が避けられないはずだから、雑誌と比べれば謙抑的――というか及び腰――になると思われます)は注目事件裁判ということになりゃ、まず間違いなく『評議の秘密』を白日の下にさらすべく動くでしょうね。「僕パパ」みたいな感じで。

その際の「正当性」主張の論拠も、今の時点からある程度は想定可能です。
国民皆兵・・・じゃなくて皆裁判員(の可能性)という制度趣旨を盾にとって「誰しもが裁判員として裁判に関与する可能性を持っている以上、実際にどのような評議が行われるかを広く国民に知らしめることは、健全な市民社会に資するものである」云々、「裁判員という資格であれ、一般市民が裁判の評議に参加している以上、その評議の内容を他の一般市民に対し秘する必然性は薄い」云々、「正確で十分な<証拠資料>をあまねく市民一般に知らしめることは、憶測や感情論に基づく関係者批判を抑制する効果がある」云々と。

まぁ「評議の秘密」を暴き立てた場合、実際に起こることは、被告人当人のみならず周囲の知人友人親族家族関係者等々の赤裸々なプライバシーが晒し者になって、下世話なゴシップ的好奇心を腹一杯になるまで満足させるってことでしょうけども。

「報道被害」を受けるのは被告人当人(と、被害当事者)には留まらないでしょうね。間違いなく。

「陪審員が自信を持って考えを表明できるのは、発言内容が外に漏れないとの理解があるからだ」

司法が採用するかどうかを別にするならば(採用しないでしょうが)逆張りの論理での主張も可能になる部分ですね。
例えば「外部に公知され批判の対象ともなりうるとの緊張感が生じることで、表明される意見の公平性や合理性がいっそう高められる」云々。

森法務大臣は『お上の裁判』から『民主社会の裁判』へと大きく変わると会見で述べ立てていますが・・・・専門教育・訓練を経た従前の『お上の裁判』は、そんなに『非民主的』だったとでも言うんでしょうか。
『民主社会』は、その構成員が一定以上の「市民」性の水準に達していないと機能しないんですが、そういう(政治学的な)ベーシックな認識を持った上で『民主社会の裁判』などと言ってるんでしょうか。

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