例によってla_causetteの「私はエスパーではない」(ウェブ魚拓)についてです。

 小倉弁護士はこう言っています。

 ウィグモアの定義も,広島高裁松江支部の定義も,また渡辺直樹弁護士による解説も,「証人尋問における誘導尋問」に関するものであって,「議論における誘導尋問」に関するものではありません(議論をするにあたってどのような手法が用いられようが,それは法律が本来関与すべきものではありません。)。したがって,それらを参照した上で矢部教授が行った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明は,「証人尋問における誘導尋問」に関するものだと読むのが通常です。

 以下は、ほとんど今まで述べてきたことの繰り返しです m(_ _)m
 小倉弁護士だけは、わからないというか目をつぶって読まない振りをしているようですが、もう一度整理して書きます。ばかばかしいですけど。

 そもそも小倉弁護士が「誘導尋問ではない。」と言い、私が「誘導尋問だ。」と言っているのは、証人尋問における小倉弁護士の発言ではありません。
 小倉弁護士が、法廷ではなく、自分のブログに書いた

 野党の共同提案にかかる刑事訴訟法改正案には無条件で賛成されますか?

という質問が「誘導尋問」かどうかです。
 最近の誘導尋問か否かという議論(?)は、すべてこの問題についてのものです。
 この問題は、裁判の証人尋問における質問ではない、という形式的な違いだけでなく、過去の事実に関する現在の記憶を尋ねる証人尋問と現在の法案に対する意見を尋ねる質問という実質的な違いがあります。
 なお、証人尋問においては、事実を尋ねる質問と意見を求める質問は区別されており、意見を求める質問は原則として禁止されます。

刑事訴訟規則
第百九十九条の十三
1 訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一  威嚇的又は侮辱的な尋問
二  すでにした尋問と重複する尋問
三  意見を求め又は議論にわたる尋問
四  証人が直接経験しなかつた事実についての尋問

 小倉弁護士は刑事弁護をしていないから刑事訴訟規則の規定は知らなかったかも知れませんが、民事訴訟規則にも同様の規定があります。

民事訴訟規則
第百十五条
1 質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならない。
2 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第二号から第六号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
二 誘導質問
三 既にした質問と重複する質問
四 争点に関係のない質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
3 裁判長は、質問が前項の規定に違反するものであると認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。

 つまり、意見を求める質問自体が、証人尋問における通常の質問つまり過去の事実を尋ねる質問と違うことは、少なくとも弁護士であれば基本的な理解(それがないともぐりと言われかねない)です。
 本エントリのタイトルは、小倉弁護士も弁護士である以上その程度の理解はあるだろうという前提に立っています。
 知らない人に対して「ねつ造」とは言いません。

 何度も繰り返しますが、裁判における通常の証人尋問と今回問題になっている小倉弁護士の質問は違います。
 違いがあるにもかかわらず小倉弁護士の質問を誘導尋問と言っていいかどうかが問題になっているわけです(、というか小倉弁護士が問題にしているのです。後で指摘しますが、実はこの問題は小倉弁護士の質問の欺瞞性における本質的な問題ではありません。小倉弁護士が定義論争に逃げん込んでいるだけです)。
 ここで、通常の証人尋問における誘導尋問の定義をそのまま当てはめても答えが出ないことは中学生でもわかることです。

 しかし、一般には誘導尋問は証人尋問に関して論じられており、証人尋問を前提にして定義づけされています。
 議論の出発点として証人尋問における誘導尋問がなぜ原則禁止とされているのかを考えることは有益です。
 私が、ウィグモアの定義や広島高裁松江支部の定義や渡辺直樹弁護士による解説に言及しているのはそのためです。
 しかし、あくまでも問題は、小倉弁護士の質問が誘導尋問かどうかです。
 しかし、小倉弁護士は、

したがって,それらを参照した上で矢部教授が行った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明は,「証人尋問における誘導尋問」に関するものだと読むのが通常です。

などと言って、明らかに議論の流れと文脈と論理を無視した意図的な誤読すなわちねつ造を行っているのです。
 私は、「証人尋問における誘導尋問と議論における誘導尋問の違いが分からない小倉弁護士」ですでに通常の証人尋問と小倉弁護士の質問の違いを指摘し、その違いを考慮して議論しなければいけないことを明言しています。
 小倉弁護士は、その部分を一切無視(小倉弁護士のエントリ単体で見れば隠ぺい)して、私の大学教員としての資質を攻撃するという名誉毀損行為を行っています。

 小倉弁護士の読み方が「通常」でないことは、論理的な読解力にある人にとっては明白です。
 そして普通の裁判官は論理的な読解力があります。ここで「普通の」とことわったのは、裁判官の中にも小倉弁護士並の偏向した考えの人間が絶無ではないという一抹の不安があるからです。

 誤読だ,曲解だ,捏造だとの人格攻撃を矢部教授から受け続けているのですが,ウィグモアの定義や広島高裁松江支部の定義から明らかだと言い放った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明を訴訟における証人尋問を前提としたものではないと読めというのは不可能を強いるものであって,

 これを「不可能」だという小倉弁護士は、いったい何を議論していたのでしょうか?
 小倉弁護士の質問が誘導尋問と言えるかどうか、という問題を「誘導尋問の定義論争」にすり替えています。
 小倉弁護士の質問の問題は、他人の意見を自分が批判しやすいように誘導して、誘導された回答をされに捻じ曲げて中傷的批判を加えようというその意図にあります。
 ですから、小倉弁護士の質問が「誘導尋問」という定義に含まれるかどうかなどはどうでもいいことなのです。
 私も、もともと比喩的な意味で言ったのですから。
 しかし、比喩も本質的な理解なくして的確な比喩になりません。
 比喩として見た場合だけでなく、小倉弁護士の質問がその本質において「誘導尋問」であることはすでに何回も説明したとおりです。
 小倉弁護士は、自分の質問の意図が見抜かれてしまったことがくやしくてたまらないだけです。
 なんとか読者の目を自分の主観的意図から定義論争にそらさせたいのです。
 そこには人格的な姑息さ卑しさしか感じられません。

 ところで、小倉弁護士は定義論争においても破たんしています。
 ハスカップ氏が場外においてされた説明を引用させていただきます。

1913 :ハスカップ ◆x96/19NkTU:2009/06/28(日) 09:23:29 ID:ZtQTTpt.0  言葉の定義の神学論争をしたくなかったんですけどw

 ウイグモアの論文集のどこかの脚注には、次の記述があります。(日本の某高裁判例がウイグモア論文を一部ささいな誤訳してパクリしているのがバレちゃうんで書きたくなかったんですけどw)
>ここに言う"暗示"とは、質問者の求める答えを暗に示唆する言語、音声、態度、形式その他特殊な発問方法などの質問形式の一切であって、理詰めの説得を除く。
>これと等価な効果を生ずる明示的な押し付けは、本来"誘導"されるものではなく直截的に一つの結論を認めさせようとするものなので、言葉の普通の意味からすれば"暗示"ではない。
>しかし、私見では、普通の暗示による誘導(狭義の誘導)と等価の結果を得るし、"結論の提示"とは"結論が正しいと暗示する"要素を当然に含むから、なお"誘導尋問における暗示"に含まれると思う。
>このことは言語上、求める答えを示唆しない"詐称誘導"が誘導尋問とされてきた判例(<訳者注:ここに州法の判例がたくさん引用されているが膨大なので割愛する>)からも導かれると思う。

 これを前提に次を見てみれば、おかしなことを書いているのは誰だか「示唆」されると思います。<(_ _)>

>la_causette 28/06/2009 私はエスパーではない
>矢部善朗創価大学法科大学院教授は,「小倉秀夫弁護士のための誘導尋問講座」というエントリーを立ち上げておられました。(以下略)

 このハスカップ氏の説明を待つまでもなく、小倉弁護士自身の誘導尋問の定義を小倉弁護士の質問に当てはめれば誘導尋問になるじゃないか、という指摘は各所で行われています。
 それに対する、小倉弁護士の反論はありません。誘導尋問じゃないと子供のように言い張っているだけです。
 小倉弁護士に対しては、規範解釈と解釈の結果確定した規範の事実への適用という法律家としての基本ができていない、という批判が可能です。

 小倉弁護士に忠告しておきますが、他人の意見を封殺した自分のブログの中だけで、「これが通常だ」とか「これが普通の弁護士の感覚だ」とか言っていても、出るところに出れば通用しないんですよ。
 あなたのエントリにつけられたはてなブックマークコメントを読んで、

一人の人が複数IDを駆使して,一つのエントリーに繰り返しネガティブブクマコメントをつけることが可能です。

などと言い張るのはあなたの勝手ですが、それがどの程度説得力があるのかあなた自身でお分かりでしょう。
 もしわからないのなら、それこそバカと言われても仕方がないですよ。
 ところで、今紹介した「ご苦労様,お気の毒に」というエントリ(実名ブロガーが書くとは思えない情けないエントリですが)に、

小倉先生は、「ネガティブブクマコメント」またはブクマに限らず「ネガティブコメント」という言葉をどのような意味で使っているのですか?

という質問コメントをしましたが、それに対する答えがありませんね。

 自分を批判するコメントをすべて「ネガティブ」と評価するところにあなたの自己中心性とラベリングによる印象操作体質が顕著に表れているの見るのは私だけでしょうか?

 「私はエスパーではない」というエントリタイトルにも突っ込みを入れられますが、そこは自重しておきましょう。

追記
 新エントリ「議論における誘導尋問」という新たな概念についてですが、私のほうで新たにエントリを立てるほどの内容ではありませんので、以下のようなコメントを送っておきました。
 通りすがりの読者用にトラバもしておきます。

>"以上の定義から明らかですが"という言葉を用いて自説を説明すべきではなかったといわざるを得ません。

私は、自説を説明したのではありません。
証人尋問における誘導尋問というもの一般的な理解を通して証人尋問の本質を説明したのです。
あなたのような表面的な定義論ではなく本質を説明したのです。

>ですから、まず叩き台としての案が提示され、これに無条件で賛成するか否かから入ることを「議論における誘導尋問」などと表現して、これを非難するという行動パターンは、一般にとられていません。

案が叩き台として提示されたのであれば、それに対して「無条件で賛成するか否かから入ること」は通常の議論ではあり得ません。
そのような議論は、「叩き台」についての議論とは言いません。

すでに述べているように、あなたの質問が誘導尋問であるかどうかは定義論争です。議論のレベルによって答えは変わります。
誘導尋問と言うかどうかは本質的な問題ではありません。
あなたの質問が刑事訴訟規則または民事訴訟規則にいうところの誘導尋問でないことは当初から自明です。
まさかそんなレベルで議論していたのですか?

今回の議論(?)の本質的問題は、あなたの質問の意図であり、質問に対する私の対応または回答をあなたがどのように利用したかです。
つまり、問われていたのはあなたの議論者としての誠実さです。
この点についての回答はすでにあなたの最近のエントリによってあなた自身が回答しています。
あとは読者の評価だけでしょう。
はてブコメントがごく一部の読者の評価と考えるかどうかはあなた次第です。
なお、読者サービスとしてはてブコメントへのリンクページを付記しておきます。
http://b.hatena.ne.jp/motoken00/


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://motoken.net/mt/mt-tb.cgi/2619

コメント(11)

通常の論理的文章読解能力を具備した程度のことがエスパーに見えてしまうようでは、小倉クンの程度は・・・(苦笑)。

ああ、確かに小倉クンはエスパーじゃないでしょう。「エス」を除外したソレに該当しそうな気は、ものっ凄くしますけどね。

 人が自重しているのに(^^;

 エスパーの「エス」はスペシャルの略語「S」と誤読しかねないので、使わな方がいでしょう。>全ての人

小倉弁護士はエスパーである、という指摘があります。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/3910/1236552287/1918

その指摘内容に対しては、一般には別の呼称が用いられると思います。

 次は「エスパーの定義」という神学論争のエン立ての悪寒(T_T)
 私はシャープ電子辞書は持っていません(キッパリ。

エスパーねぇ・・・・ああっ!そうか!!
だから小倉クンは、あんなチャチでミエミエなハメ手が見抜かれないと思い込んでたのか!!自信満々で仕掛けたはずのハメ手だったのにあっさり見抜かれちゃったもんで“自分の質問の意図が見抜かれてしまったことがくやしくてたまらない”わけか!!なるほどなぁ。

ネットジャーゴン的表現ではきっと、
自己評価>>>>>越えられない壁>>>>>実力
という図になるんでしょうな。

 ちなみに米国法では、
>見え見えの一見して罠と子供でもばれる罠を仕掛けた場合、「罠の抗弁」が成立するか?
というパロディ論点がございます。
 ハーバードかワシントンのローレービューの古いバックナンバーの学内記事(今年の予想期末試験問題4月1日付け記事)にあったという記憶です。TVのコミカルヒーローをネタにした事例問題でした。o(^ヮ^)oワッヒッヒッヒッ

小倉べんごしは前エントリーの【長文饒舌辟易術】からまたも戦術変更の様子。

しかし”私はエスパーではない”が【強弁居直り術】(=子供の駄々)でないと認められる為には。
最低でも、次の2つの命題を証明しなければ成らない。
 

誤読だ,曲解だ,捏造だとの人格攻撃。

1. 誤読or曲解or捏造の指摘は「人格攻撃」である


ウィグモアの定義や広島高裁松江支部の定義から明らかだと言い放った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明を訴訟における証人尋問を前提としたものではないと

2. 訴訟における証人尋問を前提とした定義は「他の議論に適用出来ない」。

これ出来るのかな?

追記しました。

 la_causette新エントリ【「議論における誘導尋問」という新たな概念について】の読後感は次の2つに出ています。(^^ゞポリポリ
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/06/post-3475.html%23comments
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/06/post-3475.html

コメントする

太字 イタリック アンダーライン ハイパーリンク 引用

このエントリのコメント


楽天(売れ筋)